あなたならどうしますか? / シャーロット・アームストロング
[白石朗 他訳] 1957年刊行の第一短篇集の完訳版。 正義漢の若き弁護士、マイク・ラッセルもの3作を含む中短篇10作品で構成されています。 サスペンスの巨匠といわれる著者ですが、意外と短篇は、わたし好みの謎解き的な作法を踏まえた作品が多くて嬉しかったです。
なんだか、主人公たちの境遇に気持ちを揺さぶられ続けて、とてもとても読み応えを感じました。 全篇通して“あなたならどうしますか?”と絶え間なく問いかけられているような感覚に囚われました。 意表を突くスリルや技ありの仕掛けは、読者に考える手掛かりを提供するための巧妙な装置として如何なく作動していたといったらいいか。 なので愉しむというより、どちらかというと思いに沈むといった心境に近かったかなぁ・・わたしは。 心理系って、本来やや苦手とする分野なんですが、こうも質が高いと苦手もへったくれもありませんな。
怒りにまかせて冷静さを失ったり、思い込みというエゴに盲目的になったり。 物事の真意を見極められない精神的未熟さが引き起こすリスクを見据え、果敢にメスを振って警鐘を鳴らしている・・そんな健全さに貫かれているので、ちょっぴり持ち重りしてくる嫌いもあるんですが、突拍子もないストーリーの糸口を掴んだが最後、するするっと巻き取られるようにのめり込んでいける佳作揃い。 憶測を好まず、証拠に根ざした公平さを重んじる本格ミステリの鉄則が、作品の趣旨に活かされ、響き合っているのが素晴らしい。
ラッセル弁護士は、子供、或いは大人になれない若者の善き導き手という印象でした。 黄色と赤のド派手な格子縞のソックスが何気にツボ♪ ラッセル3作の中では中二病真っ只中の少女が事件に首を突っ込んでいく「生垣を隔てて」がよかったな。 心理の綾の見事さに加え、運びが巧い! あと、判断力を試される厳しさと見守る温かさが、この作品集を総括しているようであった表題作の「あなたならどうしますか?」も好きですし、自ら創造した名探偵に成りきって自信満々事件解決に乗り出す推理作家の生態にニヤニヤしてしまう「ポーキングホーン氏の十の手がかり」がお気に入りです。 唯一これだけ息が抜けました^^;
一番印象深かったのは殆ど長編の「あほうどり」。 原題の「The Albatross」のイメージが;; うぅぅ><。 白でも黒でもない、一面のグレイに圧し掛かられる中盤までの、形として捉えられないサイコホラー的怖さ・・ 許しを与えられるという重荷に心が疲弊し苛まれていく過程の息苦しさが絶品。


あなたならどうしますか?
シャーロット アームストロング
東京創元社 1995-04 (文庫)
関連作品いろいろ
★★★
| comments(0) | trackbacks(0) |
C O M M E N T








http://favorite-book.jugem.jp/trackback/697