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冷たい密室と博士たち / 森博嗣
シリーズ2作目ですが、実質的にはこれが処女作らしい。 「すべてがFになる」はいろんな意味で超人的であり、浮世離れしていましたが、打って変わって現実的背景がくっきり浮かび上がる作品でした。 へぇ、森さんがこんな俗っぽい(貶してない)ミステリを書くのか・・と意外な発見でもあった一冊。
舞台も孤島からN大学内へ。 犀川先生の友人である土木工学科の喜多助教授が所属する研究施設の低温実験室で起こる殺人事件。 密室のメカニズム自体がITネタから解放されていたせいか、オーソドックスな本格ミステリとして普通に読み易かったです。 あれ? 真賀田博士ってもう出てこないのかな。 シリーズに絡んでくるのかと勝手に勘違いしてました;;
“さて、ここでマクロに全体的な境界条件を整理してみましょう”なんて名探偵の台詞、理系ミステリならではですねっ! ほんと、犀川語録集作りたくなるくらい(ちょっと尖んがった)名言がいっぱいあるんだよねぇ。 “人間の感情を言葉で表現すること自体、円周率の小数点以下を四捨五入するみたいで気持ちのいいものではありません”とか、“もっとも役に立たないということが、数学が一番人間的で純粋な学問である証拠です”などなど。
犀川先生と萌絵の関係性の描写が凄く好き。 こういう恋人未満の微妙さに一番萌えるんだ。 婉曲的な思考から相手への好意を表現する繊細なニュアンスが天才的に巧い。 森さんってやっぱ天性の詩人だなーと思う。
犀川先生の凡俗なるものへの嫌悪というか、屈折加減というか、デリケートさというか・・ 大人としてどうなのよ? と、最初こそ冷めてたとこあったんだけど、やばい、どんどん癖になる・・orz だってこの面倒くささが可愛いったらないんだもん。 超スマートで超偏屈という歪な魅力が堪らない。 意味のないのが高級なジョークという自論を実行に移し、洒落(のつもり)を言って黙殺されてたり、無口で無愛想な国枝助手の結婚報告を聞いて、俗世のことなど我関せずとばかり飄々としているだろうと思いきや、度肝を抜かれて動揺しまくってたり、喜多先生を“悪友”という言葉を使って紹介して萌絵に笑われてたり・・ 久々、擽ってくれる登場人物に出逢えて、わたし今、時めいてます。 それからトーマ!三色のトーマ!
余談です。 ノベルズの解説の太田忠司さんが、「すべてがFになる」の解に至る手掛かりとして“動機を変数にぶち込んでやればあっさり解は得られる”などとのたまっておられるのですがキャパを超えているので泣く泣くスルーしました・・orz 文系脳にわかるように誰か説明して!


冷たい密室と博士たち
森 博嗣
講談社 1999-03-12 (文庫)
関連作品いろいろ
★★
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