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憑かれた鏡 / アンソロジー
[副題:エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談][柴田元幸 他訳] 挿絵と編集をエドワード・ゴーリーが担当した英国怪奇小説のアンソロジーで、セレクトされているのは19世紀後半から20世紀前半頃に発表された作品。 テクノロジーの敷衍によって非科学的なものが駆逐されつつある最中だからこその、やむにやまれず募っていく神秘への憧憬にも似た・・ 独特の芳しさを持つ時代ですよね・・ふぅ。 格調と超常の不思議が融合して輝きを放ったまたとない潮合いに生まれ落ちた贅沢品を堪能。 ゴーリーのモノクローム線画がいっそうの世界観を際立たせます。
特に終わり方の雰囲気と余韻に共通性が感じられる気がしました。 ざわざわと心許なくなるような索漠感というか、漂然とした侘しさというか・・ そんな感覚に一番強烈に襲われたのが「八月の炎暑」で、もう、堪らなく好きです。
得体の知れない古の引力が作用している家モチーフが数篇入っていて、その中では「判事の家」がお気に入り。 埒外の無慈悲な邪悪さ、静止した空間を苛む恐怖の膨張に眩暈がしました。 家の呪縛ものとはちょっと違うんですが、古風なホテルの怪しさに惹き込まれた「豪州からの客」も美味。 “寒い霜の朝”から“雨と霧の夜”に変容するわらべ唄がゾクっとくる。
生活空間に侵入してきた不可解で掴みどころのない禍々しい気配に、どんどん脅かされて囚われていくような・・ やっぱり、根底に感じるのは“幽霊”というより“悪魔”の存在かな。 そこここに潜み、揺曳している理不尽な“悪魔”が香り高いのです。
名作「猿の手」は言わずもがな。 マッドサイエンスと滑稽味が奏でるハーモニーが最高だった「死体泥棒」もよかったし、「古代文字の秘法」の魔術的な妙趣も味わいがありました。 ハズレなし!

収録作品
空家 / A・ブラックウッド (小山太一 訳)
八月の炎暑 / W・F・ハーヴィ (宮本朋子 訳)
信号手 / C・ディケンズ (柴田元幸 訳)
豪州からの客 / L・P・ハートリー (小山太一 訳)
十三本目の木 / R・H・モールデン (宮本朋子 訳)
死体泥棒 / R・L・スティーヴンスン (柴田元幸 訳)
大理石の躯 / E・ネズビット (宮本朋子 訳)
判事の家 / B・ストーカー (小山太一 訳)
亡霊の影 / T・フッド (小山太一 訳)
猿の手 / W・W・ジェイコブズ (柴田元幸 訳)
夢の女 / W・コリンズ (柴田元幸 訳)
古代文字の秘法 / M・R・ジェイムズ (宮本朋子 訳)


憑かれた鏡
 −エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談−

アンソロジー
河出書房新社 2006-08 (単行本)
関連作品いろいろ
★★★
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