※ ネタバレご注意を ※

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - |
朽ちる散る落ちる / 森博嗣
前々作「六人の超音波科学者」の後日談的作品です。 挿入エピソードのうち、風呂敷が畳まれずに終わってしまい、ヤキモキしていた部分は、本作で無事回収されることに。 まだ読んでないのですが、短篇集「地球儀のスライス」に収録されている「気さくなお人形、19歳」を前段とした三部作として読むと補完し合えてベストみたいです。
というわけで、舞台は土井超音波研究所。 最初のページの込み入った見取り図が前々作と全く同じなので、一瞬、なんだなんだ間違い探しか? と思って見比べちゃったよ^^; 内輪の小さな揉め事じみた印象から一転し、なんともドでかいスケール。 ルートが暴かれてアクセスが可能となった研究所の地下に眠る秘密と、人工衛星で起こったトップ・シークレットの殺人事件。 双方の関連が俄かに浮上し・・ 常軌を逸した地下と宇宙のダブル密室ものです。
理系全開のハードな物理トリックは紅子さんの説明を聞いていてもさっぱり頭に入ってこなかったので、きっとごっついトリックなんだろうなーと漠然と想像しつつ、ふんふん、そういうもんなんだーと思って適当に読んじゃいました。 申し訳ない;; なまじ森さんが密室作りに本気出すとこういう方向に走るんだよね。 知ってた。 でも、理解不能なくせに、そんなに嫌じゃないだよわたし。 変なの。
小田原博士の代理で超音波研究所のパーティに参加した紅子と、外国の飛行機事故で“死んだことになっている”纐纈老人の孫娘にそっくりという縁で、紅子と一緒にパーティに参加した練無。 この前々作の設定はむしろ、本作で存分に活かされ、実を結んでいたように思います。
あり得ない事件に短期間のうちに何度も遭遇するという、シリーズもののミステリでは触れちゃいけない暗黙の了解事を、エピローグで保呂草が律義に穿り返しては、あの手この手の詭弁を弄して論破を試みようとするんだよね。 これがシリーズの余興のようにもなっていて、わたしの秘かな愉しみだったりします^^
機千瑛が無双っぷりを見せたり、森川くんが駄洒落(のつもり?)を言ったり、サブキャラに華を持たせてあげてたから、ネルソンも、まさかまさかのへっ君発見の大手柄? なぁんてことにはならず、やっぱりネルソンはネルソンなのであったw
もう9作目なんだよねぇ。 なんかシリーズ中、一番しみじみさせられるストーリーだったなぁ。 えへへ、泣いちゃったよ。 馴染めない馴染めないと愚痴り続けて来たけど、あと一作で終わってしまうのが無性に寂しいな。 こんな心境になろうとはね。 ここまでくるともうバレバレな70年代フラグを立てて、読者への注意喚起を盛んに行ってくれています。 もう伏字にする必要もないでしょう。
エピローグの草野球観戦シーンが絶佳。 何でもない日常の、その掛けがえのない瞬間を無菌カプセルに封じ込めたような輝きの中に、有限の儚さと甘く切ない郷愁が香ります。 このVシリーズ、思い入れ深いキャラクターは見出せず仕舞いだったのに、それぞれの個性の中にみんなが優しく調和していて、静かな感動さえ呼ぶ、忘れられない名シーンだったと、わたしは思いました。


朽ちる散る落ちる
森 博嗣
講談社 2005-07 (文庫)
関連作品いろいろ
★★
| comments(0) | trackbacks(0) |
スポンサーサイト
| - | - |
C O M M E N T








トラックバック機能は終了しました。