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スウェーデン館の謎 / 有栖川有栖
作家アリスシリーズの5作目。 国名シリーズとしては2作目に当たる作品。 長編です・・でした。 わたし、国名シリーズって、息抜き的な連作短篇のシリーズなのかと勝手に勘違いしたー;; じゃ、タイトル以外、特に何かに特化した括りというわけじゃないってことかな。 なら、順番に読めばよかった・・ぶつぶつ。 ま、いいんだけど。
アリスは取材旅行で雪深い磐梯高原を訪れます。 滞在中のペンションの隣家、童話作家の一家が暮らすオーセンティックなログ・ハウス、通称“スウェーデン館”へお茶に招かれたアリスが遭遇する惨劇。
五色沼や磐梯三湖の玄妙な佇まい、民謡に唄われた宝の山の、ごつごつと烟る荒々しい稜線・・ 裏磐梯の雄大な自然が、哀しい物語を懐深く抱きとめて慰撫してくれているかのよう。
“雪の密室”とでも言えそうな、雪上の足跡ものです。 ストーリーは想像を超えるという感じではなかったですが、簡潔で綺麗なトリックが印象に残る作品・・ という自分の中での位置づけを認識して読了したところ、宮部みゆきさんの解説を読んで、修行がたらんなーと嘆息してしまいました。
火村が時折漂わせる深刻なトラウマ持ちらしき気配が、アリスの思考を通して伝わってくるので、読んでいて気掛かりなのは事実なんですが、自分が読むのが2作目だったことを言い訳にすれば、それほどの思い入れもなかったのに、気掛かり具合に拍車をかけさせるような名解説><
このシリーズで扱われる事件が“男女や親子の愛憎を元とし、しばしばホームドラマの様相を呈する”のは、それ相応の必然性があるからなのだという指摘に触れて、火村の“探偵する理由”を探るシリーズという長いスパンでの物語性への関心が、わたしの中で急浮上してきました。 お気楽そうな国名シリーズだけ気分転換にちびちび読もうかとデレっと構えていたのに、宮部さんのせいで、作家アリスシリーズ全部、固め読みしたくなっちゃったよ・・ んもぉ〜憎い仕事をなさいます^^;
有栖川さんって、ガチの本格ミステリ作家さんっぽくない(と云っては語弊があるかもしれませんが;;)、小説家チックといいましょうか、繊細で端麗な文章を書かれるんですよねぇ。 筆先に滲ませるちょっと古めな美文調(?)が、理知的でありながら抒情的で・・ なんか雰囲気あるんだよなー。
あっ、でもこれって、作中の“私”こと推理作家の有栖川有栖の一人称(正確には“学生アリスシリーズ”の有栖川有栖が書いてるという設定)だから、彼のセンスを反映させてるという趣向なのかな? うん、きっとそうだ。
スウェーデントリビアが、程よいさじ加減でプロットの彩りに貢献しているし、 読者をもてなしてくれるサービス精神も嬉しい。 家庭で作る生姜風味のクッキー“ペッパァルカーカ”(それを食べると誰もが親切な人になれると言い伝えられている)や、夏の風物詩のザリガニパーティ、冬至の日の宗教行事であるルシア祭などなと。 暗く長い冬を心地よく快適に過ごすために培われてきた習慣が、北欧の傑出した家具調度や児童文学のベースにあるんだなーと、心にストンと落ちるものがありましたし、スウェーデン人の人生観や自然観からフィードバックして、日本の慣れ親しんだ自然の美しさを再認識させてもらえるような遣り取りなども粋な計らいに思えました。


スウェーデン館の謎
有栖川 有栖
講談社 1998-05 (文庫)
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