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謎の謎その他の謎 / 山口雅也
謎が明かされないまま物語が“Fade Out”するリドル・ストーリーを取り揃えた短篇集。 2冊の「謎の物語」を読んで以来、すっかり虜です。 ただ自分の場合は、想像逞しく答えを追い求めるセンスがないもので、もっぱら奇妙な味わいの異色集っぽく楽しんでます。 目次を見たら“山口雅也訳”なんてのが混ざっていて、あらオリジナルばかりではないのね? と思ったら違いました。 騙されかけた^^;
どれも秀作ですが、一番星はやはり「異版 女か虎か」。 リドル・ストーリーの古典といわれるストックトンの「女か虎か」のみならず、そこへ「女か虎か」へのオマージュ作品であり、数ある続編や解答編の中でも屈指と言われるモフィットの「女と虎と」を被せて、二重の下敷きの上に構築した物語。 隙間のないほどに肉付けされた心理的背景が複雑に錯綜していて、各々の選択とその組み合わせ如何で、なんと悩ましい二者択一になってしまうのだろう。 これを読んでいたら、原作が凄くシンプルだったことに気づかされて、実はストックトンも(確信犯的に)サロメをモデルに書いていて、“女が、自分の愛する男が手に入らないからといって、殺すなんていうことがあるだろうか?”といった疑問符に表されるサロメの寓意性こそが答えを導き出すヒントだったのではなかったか・・そこを狙った(暗喩的な企みは深いが)明快な物語だったんじゃ・・ などと想像を掻き立てられてドキドキしてしまいました。
「見知らぬカード」も、こちらはモフェットの「謎のカード」から翻案されていて、カードを見せられた人々の反応がマチマチなのがいっそう刺激的です。 「群れ」は、どこかブッサーティを想わせるような肌寒くて薄ら怖い不条理感が好み。 唯一、「謎の連続殺人鬼リドル」だけは、頓知風な感触があって、作家からの挑戦状を受け取ったような気分にさせられて歯痒いんですが、いわゆる“ワニのパラドックス”を踏まえたストーリー。 2発の銃声というのが気になって気になって。 「私か分身か」は一瞬、エリンの「好敵手」が頭をよぎったんだけど、サイコというより怪奇SFテイストな展開なのもまた、もやっとした肌寒さが美味でした。
バラエティに富んだ謎の息吹きがてんこ盛りに吹き込まれていて飽きません。 リドル・ストーリーと括らなくても異色好きには玉手箱のような作品集だと思います。


謎の謎その他の謎
山口 雅也
早川書房 2012-08 (単行本)
関連作品いろいろ
★★★
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