※ ネタバレご注意を ※

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - |
サム・ホーソーンの事件簿2 / エドワード・D・ホック
[木村二郎 訳] 原書の刊行予定が待ち切れずとばかり、第2巻は日本独自の編纂で13話から24話までの12篇を本国に先駆けて刊行した恰好のようです。 エドガー賞を受賞した「長方形の部屋」(レオポルド警部もの)を併録。
あとがきでは、ご丁寧にも“サム・ホーソーン医師略歴”の更新、補足をしてくださっちゃって・・orz これはもう嫌がらせとしか思えないんだが・・仕方ないのかなぁ。 まだこの時点でも、先々の刊行予定の目途が立っていなかったようなので、ファンサービス的な意味合いも込めての情報提供だったのでしょうけども。 改版するときは是非とも配慮して頂きたいものです。 略歴読んでなかったら、サム先生とエイプリルって、もしかするともしかしゃうんじないの〜? 意外と意外に大穴なんじゃないの〜? って思ってたかもしれないのに^^;
ま、そうは言ってもメインは謎解きですから。 これがね。相変わらずの安定感でホントに楽しい。 探偵小説のサブジャンルとして“不可能犯罪”に特化したシリーズなので、衆人環視の殺人や人間消失や、人体密室(凄い!)あり、空中密室あり、目もあやな謎の提示が特徴的ですが、その回収としての結末に失望しないだけのクオリティが一様に保持されています。 オカルティックな伝道集会や幽霊屋敷や古い風車小屋、19世紀に流行したという八角形の家、密造酒に絡んだギャング抗争の一端や大都会ボストンの殺人鬼や曲芸飛行のパイロットやジプシーの呪い・・などなど、舞台やモチーフも雰囲気満点。
第2巻は、1927年の秋から1930年7月まで。 アメリカ社会史の出来事を踏まえつつ、ニューイングランドの片田舎の生活風景が物語の中に息づいていて、保守的な地盤の中にも、時代の移り変わる兆しが見え隠れしています。 大きな記念病院が開院し、黒人医師がやってきたり、フェミニズム思想を持つ女性やフラッパーな女性が生新な香りを振り撒いていたり。 雑貨店の一角の郵便業務が郵便局として独立したり・・
住民からは治療のために、レンズ保安官からは犯罪解決のために、サム先生が呼ばれる日々が平常風景^^ 読み進めていくうちに、縦糸と横糸の密度が増して、ノースモントという田舎町に自分がどんどん馴染んでいくのを感じます。 シリーズものを読む悦びです。
2巻目に来て、背景の人間模様にも若干ウェイトが加味されたかな? と思える向きもあり、郵便局のドタバタチックな光景を大恐慌の始まりに絡めて描いた「ピンクの郵便局の謎」などは、珍しくちょっとリリカルで、しかも殺人の起きないミステリという異色作だったのが印象的。 レンズ保安官との親交など、しつこくなくさり気ない味わいがあり、推理の箸休めとしての匙加減が申し分ない。
ミランダとのロマンスをはじめ、サム先生の周辺に妙齢の女性がチラついてきました。 でも結末知ってるからなぁ・・orz あと、特徴的な出来事としては、7年乗った愛車のピアース・アロー・ランアバウトとの悲しいお別れが。
筆頭容疑者になってしまったり、密室に閉じ込められたり、ギャングに誘拐されたり、サム先生危うし! な場面もありますが、我らがホーソーン医師はいつもスマートで理知的。 半ば慢心すれすれの、恐れ知らずの自信に満ちた若者の息吹きが、厭味にはならずにむしろ眩しいのは、サム老人が回顧しているからなんだろうな・・


サム・ホーソーンの事件簿2
エドワード・D・ホック
東京創元社 2002-05 (文庫)
関連作品いろいろ
★★★
| comments(0) | trackbacks(0) |
スポンサーサイト
| - | - |
C O M M E N T








トラックバック機能は終了しました。