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絶叫城殺人事件 / 有栖川有栖
“夜の館”をモチーフにした短篇集。 これも作家アリスシリーズの一冊です。 闇に紛れた黒一色の邸宅“黒鳥亭”、「壺中天」の故事から取った主の隠れ家的な書斎“壺中庵”、月光に照らされ聳える前衛芸術めいたゴミの尖塔“月宮殿”、未完成のまま廃屋となった六角形のビル“雪華楼”、多彩な紅色のコラージュが美しい、恋愛映画のロケに使われた屋敷“紅雨荘”、殺人鬼が潜むホラーゲームの中の迷宮の古城“絶叫城”・・
目次を眺めても六篇すべてのタイトルが“殺人事件”で統一されていて、事件の舞台となる建造物の意匠や名称もいかにもチックな気配があり、前作の「暗い宿」が旅情系なら、こちらはB級ゴシック系?とワクワクしたのですが、そんな濃ゆい感じではなかった。 もっともこてこての非現実的空間に迷い込む火村&アリスなんて、らしからぬ設定はあまり想像膨らまないもんね^^; 社会的メッセージ性を微かに宿す抒情でリアリティの岸辺にしっかりと繋がれた、いつもの余韻深い空間でした。 そこに安堵もし、若干の物足りなさも覚え・・的な。
有栖川さんて、奇抜な物理トリックをお避けになってる向きがあるように感じてたんですが、それでも今回は、舞台に触発されてか、なかなかにキワモノなやつも披露してくれています^^ 巻き毛の少女とイソップ童話が醸し出す「黒鳥亭殺人事件」のメルヘンな怖さと、 「紅雨荘殺人事件」の耽美なゴシック調が雰囲気としてはタイプ。 でも自分はどっちかと言うと、前作の「暗い宿」に軍配を挙げたいかな。
「絶叫城殺人事件」は、なかなか真相を看破できない火村先生がもどかしくなるくらい全体像は容易に想像できてしまうミステリだったものの、その一歩先へと切り込む付加価値的領域が魅力の作品で、ある意味、群像ものとして秀逸。 喧騒の都市、大阪が“絶叫城”と化していく見立て、ヴァーチャルからリアルへの敷衍、悪夢の溶け出し方が巧みで、物語としての満足度は群を抜いていました。
ところで、ゲーム「絶叫城」のノベライズはどうなっちゃったんでしょうねぇ・・ スプラッタホラー作家の鯨岡羅夫氏^^ キャラっぷりがいい感じで香ばしかったので再登場を乞いたい。 アリスとの人を喰ったようなおちゃらけ無礼な掛け合いを是非また♪
要らぬお世話ですが、火村先生のバリトンボイスというのがねぇ。 個人的にはいつまで経っても順応できない;; 抑揚のない擦れ気味の浅い声でさらさら喋ってそうなのよね・・イメージとしては。 と、つべこべ言っても有栖川さんがそう言うのだから仕方ない。


絶叫城殺人事件
有栖川 有栖
新潮社 2004-01 (文庫)
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