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密室蒐集家 / 大山誠一郎
密室難事件が起こると、どこからともなくやってきて快刀乱麻の推理を披露すると、どこへともなく去っていく謎の人物、“密室蒐集家”。
戦前から現代まで、異なる時代の五つの短篇に変わらぬ容姿(30歳前後のスマートな紳士)で登場する神出鬼没の時間旅行者は、特に警察関係者の間では都市伝説のように半信半疑に囁かれ続けている異形の名探偵。 まるでミステリ国の民話みたいな一掬の風味も感じられるのですが、“密室蒐集家”とは、いや、まさに密室の精霊なのですね。
密室パズラー集ってことで、流石にマニアック過ぎて食傷するかなーと心配したがそんなことはなかった。 実は、ケレンたっぷりなド派手なのを想像してたんだけど、何この健全な空気・・全然違かった^^; 衒学や美文や猟奇など雰囲気づくり的な舞台美術一切なしの、清々しいまでにプレーンな推理志向と、日常という揺るぎのない地面への密着度。 そこへ一点、“密室蒐集家”というレジェンドが華を添え、推理ロマンを掻き立てる・・ 得難い美風薫る連作ミステリです。
素人でも尻尾を捕まえられそうな気にさせてくれる参加型チックな誘いかけが巧いと思う。 平明な文章も貢献してるでしょうか。 釣られて柄にもなく謎解きにのめり込んでしまいました。 普段は完全な傍観者なのに。 発想も、それを活かした一捻りあるプロットも一級品ですが、論理の美しさを尊重し細かいことは突っ込まない・・みたいな暗黙裡のお約束の上に成り立つワンダーランドなので、そんな肩の凝るようなタイプではないように思うんだよなー。 だって自分がこんなに楽しめるんだから。 あくまで華麗なる推理譚の不可侵性を愛でるという意味で、醍醐味を感得できる作品ではないだろうか。
特に、密室を作らなければならなかった理由に唸った「理由ありの密室」が好き。 あと「少年と少女の密室」は、1953年という背景と共鳴するのか堪らん叙情があったなぁ。


密室蒐集家
大山 誠一郎
原書房 2012-10 (単行本)
関連作品いろいろ
★★
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密室限定のミステリを
小説「密室蒐集家」を読みました。 著者は 大山 誠一郎 5つの短編で、独立した作品ながらも どれもが題名通り密室蒐集家が出てくるという まさに本格ミステリというか、密室事件に特化したミステリモノです こういったパズラー的な作品なので、そのミステリとしての
| 笑う社会人の生活 | 2016/01/07 |