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アリアドネの糸 / キャロル・クレモー
[山本やよい 訳] イースト・コーストの都会型総合大学で古典学を教える準教授のアントニア・ニールセンが、大学博物館で開催される“エーゲ文明黄金展”の準備期間中に起こった展示品の盗難事件と、研究熱心な古典学科の学生アリアドネ・パパス失踪事件の謎を追うキャンパス・ミステリ。
ギリシャ神話はもとより、 “エウリピデスの戯曲の失われた断片”という古典文学的モチーフを絡めつつ、古代の遺物という考古学的エッセンスをあしらいながら展開していく眩いばかりのギリシャ・エーゲ色が魅力な作品でした。
犯人当ての鍵となるのはダイイング・メッセージ。 古典文学の大学教授たる作者クレモーの面目躍如な仕掛けと言えそうです。 言語へのこだわりが随所に織り込まれている気配はあるものの(訳者さんはご苦労くださっているのですが)いかんせん素養がないもので、その辺のニヤリポイントを悉く逃してる自信があります。
でも何よりの読みどころは、言うなれば神話を現代バージョンで書き換えた今アリアドネの物語であったということ。 古代のアリアドネと二十世紀のアリアドネが、自分の夢を叶えるための糸をどのように手繰ろうとしたか、その行動比較がテーマといっても差し支えないんじゃないかな。 女性作家が描くフェミ系なヒロイン像が印象的でもありました。
80年代前半頃のコンテンポラリーな作品なので、微妙な古さがなんとも^^; ジョーク交じりのスカした会話が日本語に変換されると浮いてしまうのは、お国柄以上に時代性というのもあるのかどうか・・ でも、この(ほとんど様式美と化した)ムズムズ感が案外と楽しめたりもしたのだった。


アリアドネの糸
キャロル クレモー
早川書房 1984-09 (新書)
山本やよいさんの訳本いろいろ

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