冥途 / 内田百間
福武文庫刊「冥途」より、6篇を抜粋し再編集したパロル舎の文学絵草紙シリーズ。 このシリーズは先に萩原朔太郎の「猫町」を読んでいて、挿画との相性が素晴らしかったので、また手に取ってみた。 こちらの挿画も金井田英津子さんが担当している。 「猫町」よりもさらにダークに仕上がっていて、やはり期待を裏切らない。
薄ら寂しげな夜の情景描写がすごい。 百里良と挿画の相乗効果でなんかこう、ストップモーションのように記憶にしっかりと刻まれるシーンばかり。 押し潰されそうな程の濃密な気配。 訳がわからないからなおゾッとするというような怖さ。 怖い夢を見ている時の、あの途方もなく寄る辺のない感じ。 どうにかしたいのに頭が回らなくて、体が動かなくて、徐々に得体の知れない領域に踏み入っていて、得体の知れないモノたちの支配下に組み込まれながら、漠然と恐怖ばかりが張り詰めていくような感覚。 次に何が起こるか本当はわかっているのに、そうなりたくないのに止められないジレンマ。 でも恐怖の中にも哀れさや、泣き顔になりそうな可笑しみがそれとはなしに潜んでいて、どの作品も短調の曲のようにしっとりと仄暗い風情を感じるのだった。


冥途
内田 百けん
パロル舎 2002-03 (単行本)
関連作品いろいろ
★★★
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