みまわりこびと / アストリッド・リンドグレーン
[キティ・クローザー 絵][ふしみみさを 訳] 「長くつ下のピッピ」の作者リンドグレーンが書いた、スウェーデンの妖精トムテのおはなし。 トムテはスウェーデンのサンタクロースともいわれる農家を守る妖精で、北欧ではお馴染みの小人なんだって。 このおはなしのトムテも、とある農場の納屋の片隅にずっと昔から棲み着いている家つきの妖精さん。 トムテについてうたった古詩をもとに1960年代初頭に書かれた童話だそうです。 なんと最近まで埋もれていたのだとか。 アストリッド・リンドグレーン記念文学賞受賞作家のキティ・クローザーが絵を添えて。 澄んだ冷気と灯し火 の明かりに包まれているような・・ 慈しみ深い世界を宿した絵本として蘇りました。
森に囲まれ、雪に閉ざされた農場の、しんと更けた夜。 冬の長い国に暮らす人々や動物たちの眠りを、年をとった小人がそっと見守っています。 小屋から小屋へ、足音を忍ばせて、夜毎の見まわりを欠かしません。 耳には聞こえない小さな言葉のぬくもりは、凍てつく静寂の中に、みんなの夢の中に沁み渡っていくようです。 夏に備えた豊かな眠りであるように・・と、ささやき続けています。
冬は きて、また さっていく もの。
夏は きて、また さっていく もの。
こうやって厳しい冬を受け入れてきたんだなぁーって。 自然への畏敬を底流した民話の持つ力強さがしっかりと伝わってきて、震えるくらい素敵だった。
小人への感度はやっぱり動物たちの方が良好です。 姿も見えてるみたいだし、耳には聞こえない小人の言葉もちゃんとわかります。 人間の子供なら見えるかもしれないし、わかるかもしれないのだけれど、
子どもは 夜、ぐっすり すやすや ねむる もの。
なので、確かめることができないのです。 でも、朝になって雪にてんてんと残った小さな足あとを子供は見つけることができるし、 大人にだってできる。 たとえ見つけられなくても、そんな子供時代を過ごした大人なら、もちろん小人がいるのを知っています。 見えない小人がひっそりと棲める納屋を心の奥にこしらえてあるのです。 恙ない日々の暮らしへの静かな祈りを込めて。


みまわりこびと
アストリッド リンドグレーン
講談社 2014-10 (単行本)
関連作品いろいろ
★★★★

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