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サム・ホーソーンの事件簿5 / エドワード・D・ホック
[木村二郎 訳] ニューイングランド地方の小さな町ノースモントで起こる不可能犯罪を地元の医師サム・ホーソーンが解き明かす連作シリーズの5巻目。 深夜に現れては消える幻のロードハウス、郵便受けから忽然と消える本、水を毒入りワインに変える水瓶、広場に展示された案山子の中や地面の奥の古い柩から発見される他殺体、ハーマン・メルヴィルの幽霊が出るテラスや修道院の“知られざる扉”から消える人間・・などなど。 密室状況あるいは衆人環視のもとでの殺人や消失といった不可能趣味満載で楽しい楽しい。 初期に比べるとトリックそのものの息切れ感は否めないのですが、相変わらず手品の仕掛け・・というよりフーディーニ張りのイリュージョンを見破れるか的な好奇心を擽る煌びやかな謎が目白押しです。
サム先生はというと40台前半で、そろそろ町の名士的なポジションが板についてきましたが、周囲からはいよいよ独身主義者とみなされるようになりつつあるこの頃。 レンズ保安官は万年減量中の模様^^
今回背景となっているのは、ヨーロッパで戦争が始まり、アメリカの参戦も間近に迫る1938年から1940年、暗雲が段々と濃くなっていく時代です。 日々の暮らしが脅かされるわけではないノースモントでも、親独派の怪しい動きに人々が眉をひそめたり、戦争の話題がギクシャクした論争を伴ったりと、戦火の影がちらちらと揺れています。 そして遂に最終話ではメリー・ベストが従軍看護婦として海軍に入隊する意志を固めるに至ります。 診療所を退職したメリーの代わりを務めることになるのは、なんとエイプリル。 夫が戦地勤務に召集され、小さな息子と二人でノースモントに戻ってきました。 これもまた戦争の余波。 遠景のストーリーはごくごく淡白なのですが、友情以上恋愛未満のままどこにも辿り着けなくなって、始まらずに終わってしまったサム先生とメリーの関係の、ビターな痛みの上澄みだけを掬い取る、その素知らぬタッチがいいんだなー。 エイプリルの時も思ったけどサム先生ってやっぱり・・罪作りかも。
本巻は、何気に作家や本への言及が多かったのと、犯人特定への一段階凝った手順が印象的。 一番のインパクトは「田舎道に立つ郵便受けの謎」だったけど、密室状況での猫の絞殺事件を扱った「動物病院の謎」が好き。 伏線と構成力に唸ったし、ポーへの目配せが洒落てるし(いっそ猫は黒猫にしたらよかったのに!)、女性獣医アナベルとの運命の出会い作品でもありました。 ボーナス・トラックは2巻目に続きレオポルド警部ものから「レオポルド警部の密室」。 表紙はジョッシュ書店のカウンターにて。


サム・ホーソーンの事件簿5
エドワード D ホック
東京創元社 2007-06 (文庫)
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