モンスターズ / アンソロジー
[副題:現代アメリカ傑作短篇集][B・J・ホラーズ 編][古屋美登里 訳] “モンスター”に因んだ短篇を集めたアンソロジー。 版権上の都合でしょうか。 全訳ではない(2篇外されてる)ようでちょっと残念。 2012年にアメリカで刊行され、編纂者も出版元も執筆陣もマイナー尽くし・・と紹介されています。 でも、エイミー・ベンダーとケリー・リンクが入ってるだけで十分そそられるものがあります。 訳者さん見逃してるけど、ジェディディア(ジュデダイア)・ベリーの「探偵術マニュアル」も2011年に東京創元社から邦訳出てますので念のため補足。
がしかし。 期待したほどにはフィットしなかったのだよなぁ。 ファンキーでポップでナンセンスな奇天烈系っぽい感じを勝手に想像しちゃってたギャップもあって。 フランケンシュタイン博士の怪物やヴァンパイアやゾンビや・・ モチーフは目白押しなんだけど、結局、自己の内部のモンスター性を具現する手段としてモンスター的な演出を採用するというお定まりの比喩的解釈ばかりで、社会の中に生きる人間の心理にスポットが当てられていた印象。 手に負えない自身の違和を持て余し、またそのせいで周囲と齟齬を来たしたり、居場所をなくしたり探し求めたり・・みたいな現代人のさまよえる魂を如何に群像化するかのヴィジョンが中心だった。 現実との密着感&ウェット成分が嫌じゃなければ問題なくお勧めできるし、良作揃いだったとは思うのだけど。 うーん・・わたしとしてはモンスターが足りない;;
身体の内側に抱えたおぞましさを逆にモンスターのメタファとして描いてるのが「わたしたちのなかに」で、ここまでくるとゾッとするくらいの凄みがあった。 ひょっとすると「受け継がれたもの」が一番オーソドックスなのにもかかわらず、視点の違う示唆と妙味を返って新鮮に感じたかも。 それとやはり「モンスター」の展開力は群を抜いてた気がする。 グロテスクで滑稽で意味不明で不気味。 個人的に気に入ってるのは「ゾンビ日記」。 無駄に(?)前向きで協調生のない俺キャラ(一人称“ぼく”だけど)がなんだか捨て難くて^^; あと「モスマン」はちょっときゅんとくるね。 絵は強しっ♪

収録作品
クリーチャー・フィーチャー / ジョン・マクナリー
B・ホラー / ウェンデル・メイヨー
ゴリラ・ガール / ポニー・ジョー・キャンベル
いちばん大切な美徳 / ケヴィン・ウィルソン
彼女が東京を救う / ブライアン・ボールディ
わたしたちのなかに / エイミー・ベンダー
受け継がれたもの / ジェディディア・ベリー
瓶詰め仔猫 / オースティン・バン
モンスター / ケリー・リンク
泥人間(マッドマン) / ベンジャミン・パーシー
ダニエル / アリッサ・ナッティング
ゾンビ日記 / ジェイク・スウェアリンジェン
フランケンシュタイン、ミイラに会う / マイク・シズニージュウスキー
森の中の女の子たち / ケイト・バーンハイマー
わたしたちがいるべき場所 / ローラ・ヴァンデンバーグ
モスマン / ジェレミー・ティンダー


モンスターズ
アンソロジー
白水社 2014-08 (単行本)
関連作品いろいろ

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