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コララインとボタンの魔女 / ニール・ゲイマン
コララインとボタンの魔女
ニール ゲイマン
角川書店 2003-06
(単行本)


[金原瑞人・中村浩美 訳] お屋敷のような古い家に越してきたパパとママと一人娘のコラライン。 一家が暮らしているのは2階の半分のスペースで、もう半分のスペースへ繋がるドアは、レンガの壁で塞がれています。
でもある日突然、そのドアが異界への入口になってしまいます。 そこにはいつもと同じ部屋があって、退屈を持て余したコララインを、ボタンの目をした“もうひとりのママ”が待ち構えていました。
少女コララインが、魔女の誘惑をはねのけて、思い通りにならないけれどかけがえのない日常と、パパとママを取り戻すために繰り広げる冒険ファンタジー。
1階や3階をシェアしている風変わりで可愛らしい老人たち、古めかしい家具や調度品、たんさんのドア・・ コララインじゃなくても、探検と宝探しを始めたくなってしまうようなお家です♪ 子供向けですが結構ダークでゾゾっときちゃいました。 頭に浮かぶ映像は不気味綺麗な感じでいい雰囲気です。 あーでもこれ、子供の心で読んでみたかったなー。 夜中に暗い廊下とか絶対通れなくなったと思う
ボタンの穴から見える世界、石の穴から覗く世界・・ 日常と違う価値観や風景を喚起させられるような。 寓意性があるのかな。 ちょっと意味深です。
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儚い羊たちの祝宴 / 米澤穂信
儚い羊たちの祝宴
− The Babel Club Chronicle −

米澤 穂信
新潮社 2008-11
(単行本)


[副題:The Babel Club Chronicle] 資産家の令嬢や、そのお屋敷の使用人(というより“召し使い”って語感が似合ってしまいそう・・)の、うら若き娘たちによる独白や手記で綴られるダーク・ミステリの連作集。
“ラスト一行の衝撃”とあるんですが、衝撃とは若干違う気がするけど、確かに機知に富んだ一言で幕を下ろす運びが秀逸です。 それよりも、仔羊のごとき可憐な語り手の仮面が、徐々に剥がれて歪んでいく恐怖が、ひたひたと忍び寄る感じ。
昭和ゴシック調とでもいうのか、厳格さと甘美さが鬱蒼と蔓延るような、現実離れした濃厚なムードが香り高い作品。 ケレン味のある優雅でシニカルでファンタジックな暗黒面なので、胃もたれするようなタイプではないです。
舞台となるお屋敷も、語り手となる娘も、短篇毎に入れ替わるのですが、風評程度に登場する“バベルの会”によって、全てはおぼろに繋ぎとめられています。
慎み深く気品に満ちた錚々たる良家の子女が名を連ねるという、この読書倶楽部の存在が、読んでる間中、気になって仕方がないのですが、最終話でその秘話が詳らかにされます。 でもこれ“Chronicle”なんだよね? 第二部へ続くといいなー。
「山荘秘聞」と「儚い羊たちの晩餐」が特に好み。 作中に散りばめられた読書案内が嬉しい♪ ポー、ダンセイニ、カー、ダール、エリン、乱歩、横溝、夢野、谷崎・・ もう、片っぱしから読みたくなって困ります。
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恋文の技術 / 森見登美彦
恋文の技術
森見 登美彦
ポプラ社 2009-03
(単行本)
★★

教授の愛の鞭を受けて、人里離れた能登の田舎町の研究所に武者修行に飛ばされた大学院生の守田青年。 京都への郷愁、人恋しさ、研究に身が入らない悶々とした想いを解消すべく、いつかは恋文代行のベンチャー企業を立ち上げるぞ! などと無謀な野望を掲げて文通に精を出す現実逃避の日々・・
守田青年が能登で過ごした半年間に書き残した手紙だけで構成された、書簡集の体裁を取った小説です。 文通相手は、友人や妹、家庭教師をしていた教え子、片思いの女性、駆け出し作家の森見登美彦氏(大学の同好会で顔馴染みだったらしい)にまで至るのですが、したためられた手紙の数々を通して、守田青年を取り巻く状況が、徐々に立体的に浮き上がって見えてくる仕掛け。
一足先に社会人として働き始めた女性に秘かに寄せる恋心。 でも、明確な将来像を思い描くことができず、就職活動から目を逸らし続ける自分を持て余す青年。 ヘタレた文章の節々に、遣る瀬ない鬱屈感や焦燥感が見え隠れするのですが、書簡でのやりとりを通して、なんだかんだとみんなにイジられながら、知らず知らずにパワーを貰っていたり、意外と打たれ強い精神を発揮している自分に気づけたり。 青みが取れて、社会へ旅立つ自信が微かに芽生えてきたかな? くらいの微妙な兆しが、それとはなしに感じ取れるのがよかったです。
煩悩が空回りする怒涛の自爆ロード。 特に失敗書簡集で笑わせてもらいました。 時々違う相手に同じフレーズを使いまわしてたり^^ 虚栄を張り巡らせてる舞台裏が見えちゃうのが、守田青年には申し訳ないけどよいんだよねぇ。 芸が細かいんだよなー。
でもね。 間宮少年に当てた文章なんて、力んじゃってはいるんだけど、存外よい先生じゃないかーって、笑いながらもジンときちゃった。 「大文字山への招待状」の章でみせてくれた“世界平和”の理念モドキも(若干、自分可愛さ忍ばせてるところも含めて)よかったし、最終章では、ヘタレなりに在りのままを受け入れる度量が身に付き、一皮剥けたねってところで、またちょっとウルッときてしまいました。 くそっ。
森見さんの毎度の手練手管ではあります。 小賢しいなぁーとか思えないんだよね。 わかっていながら、またしてもまんまとハートをかっさらわれました。 楽しかったです
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セレモニー黒真珠 / 宮木あや子
セレモニー黒真珠
宮木 あや子
メディアファクトリー 2009-03
(単行本)


地元密着型の小さな葬儀屋さんを舞台にしたラブコメ連作集です。 目のつけどころが好きです。 ダークな要素は皆無なのでご安心を。
編集さんからの軽やか路線で的なプッシュがあったのかな。 たぶん。 今回は、キリキリとした痛みやエロは封印。 ベタ甘感が大量に注入されているので、ちょっと弱腰領域ではあるのですが、ハートフルで、程よい切なさもあり、サクサク読めます。
“ラブコメ!でも泣ける!”って惹句に、ご自身(のブログで)も恥ずかしそうにしてらしたのが可愛い 器用ですよね。 宮木さん。 今回はちょっとぱかり得意分野じゃなかったのですが、よい筋の作品なのではないかしら?
萌え的には木崎くんなのかなー。 小さい頃から火葬場の煙探しが趣味で、愛読書は“月刊おくやみ”。 ちょっと不思議体質アリな銀縁メガネくん。 で、女子社員2人(アラサー&ハケン)と、みんなそれぞれにお仕事と恋にときめいてます。
日本の様式美の世界にうっとりさせてもらえるところというのは、お話の中にはないんだけど、ワカマツカオリさんの表紙&章扉イラストがムードを補って余りあります! 影絵のようなレトロモダンの調べ。 レース編みのモチーフを思わせる菊の花、煙の流紋様が棚引いて、あぁ美しい。
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土曜日 / イアン・マキューアン
土曜日
イアン マキューアン
新潮社 2007-12
(単行本)


[小山 太一 訳] 1人の脳神経外科医の貴重な休日である土曜日。 予定をこなしたり、不慮の出来事に遭遇したり、一日のディティルが内省的に描かれていくことによって、読者は医師の思考回路、思索風景を追体験していくことになります。
ニューヨーク同時多発テロの衝撃は冷めやらず、イラク戦争を間近に、ロンドンで大規模な抗議デモが発生した2003年冬。 伝統と文化を兼ね備えた世界屈指の大都市ロンドンを脅かす社会不安。 円満な家庭、医師としての自負といった社会的成功と隣り合わせにある不穏な気配・・
一日の要素を構成する感情の分子は、危うい均衡の上に成り立っていて、多幸感から恐怖、優しさ、憎しみ、悦び、哀しみ・・の間を緩やかに、時には瞬時に移ろい、情緒的な揺れ、色合いを絶え間なく変化させます。 それを制御しようとする知的思考のプロセスが細分化され、精緻に描写されていくさまは、まるで心の断層撮影のようです。 というかもう、時間が、それに伴う心が、微分化された世界とでも申しましょうか。
マジック・リアリズムに苛立つオジサマの逆襲? いえ、そんな話ではないのですが。 物理的枠組みの中で追求し続ける人間の精神。 刻一刻と生みだされる感覚そのものが鮮烈な幻影、自我こそが華麗な幻想に過ぎないのだという、透徹したリアリティの醍醐味が詰まっていたように思いました。
“幸福の肖像を誇張して描いた”と、マキューアンは示唆しているのだそうで、敢えて“厭らしく”描いた魂胆は深そうです。
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人魚姫と半魚人王子 / 清原なつの
人魚姫と半魚人王子
− お伽ファンタジー1 −

清原 なつの
小学館 2009-01
(新書)


[副題:お伽ファンタジー 1] 古今東西の童話やお伽噺からスピンオフした姫と王子たちが奏でる不思議ワールド。 シュールなメルヘンのショートストーリー集です。
可愛くって、ふんわりソフトなのに、ドキンとするようなお話がいっぱい。 ちょっぴりエッチで、毒があって、切なくてユーモラス。 さらさらしていて、するりと記憶の檻から逃げ出してしまいそうな他愛のなさなのに、なんだろう、この放って置けない感じは・・
“姫”と“王子”って、旬なキーワードですよね 今感覚を上手く料理されてるなって思うんだけど、思わせぶりなところを感じさせない。 「ふたなり姫ととりかえばや王子」とか、「かたずけられねーぜ姫とブラックホール王子」とか、タイトルだけで、むくむく想像が広がって、クククってなるんだけど、読んでみると案外裏切られるというか・・いい意味で。 次元を軽やかに超えてしまうような話が多くて楽しかったです。
「人魚姫と半魚人王子」と「サボテン姫とイグアナ王子」のエロスがビジュアル的に好みです。 イグアナ王子ラヴ♪ 呪いの魔法をかけられたイグアナ顔(と舌遣い)が、そして魔法がとけて最後に残る背鰭が・・あぁぁぁぁ、たまりません。 「鉢かつぎ姫と一寸法師王子」に登場した鬼ファミリーの後姿もカワユスでした。 物語としては「眠り姫と監禁王子」のアイロニーも捨てがたい。
「カナリア姫とオウム王子」のラストで、ハンサムなお医者さんが実は・・となる、引きのワンカットがあって、たまたま「ギリシア・ローマ神話」を読んだばかりだったで「ケンタウロス族は医術に秀でているという件」が頭をよぎり、なるほど感が発動しましたが、察するに自分には気づけてないところで、想像以上にいろんな原典要素が織り込まれているのではないかと思われます
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玻璃の天 / 北村薫
玻璃の天
北村 薫
文藝春秋 2007-04
(単行本)


ベッキーさんシリーズ再読企画の第2弾です。 「街の灯」から連なる時間の流れは緩やかで、1、2年しか経過していないのですが、世の中がズンズンと暗い方向へ傾いていくのを、読者は痛みと共に受け入れるしかありません。
登場人物に委ねられた思想統制への反発や、自由と平和を尊ぶ反戦へのメッセージ性が、「街の灯」よりも俄然、強くなってる印象です。 個人的には、不穏な気配が密やかに忍び寄る中の、眩いばかりの儚い美しさが際立っていた前作の方が好みなんですけど、一般的な評価は、こちらの方が高いのではないでしょうか。
昭和初期の抒情的な雰囲気と、本格ミステリという、一見ミスマッチな取り合わせが、不思議なハーモニーを醸し出す独特のこの空間・・ やはり大好きなシリーズです。 世情、文化を映し出す精緻な背景描写、キュンとくるようなドラマ性、物語性を育みつつ、(恒例の!)暗号解読ものや、バカミス張りの殺人トリックだってやってのけてしまうってのが、なんかよいんだよね^^ そこへ更に、伸びやかに発揮される文芸的な博識が、ストーリーに溶け込んでいく優雅さ・・
英子は女子学習院の後期過程に進みます。 あどけなさが消え、しっかりとした自我が形成されつつあるお年頃です。 恋の方へ向かうかな? と思いきや、急に青臭くなりましたね^^ 正義感、そして明確な意思表示。 “考えること”の大切さをベッキーさんに導かれてきた真価が花開くかのように。
ただ、現代人の価値基準で当時を鑑みれば、彼女たちは紛れもなく格好良いのですが、軍国主義、国粋主義の抗えない流れの中では、生死にかかわる大変危険な思想を真っ直ぐに胸に刻んで生きていることになります。 英子やペッキーさんに託された健全さが痛ましくも感じてしまい、北村さんは、いったい彼女たちにどんな未来を用意しているのか気になってなりません。
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本棚探偵の回想 / 喜国雅彦
本棚探偵の回想
喜国 雅彦
双葉社 2007-10
(文庫)
★★★

本棚探偵の冒険」の続編。 パワー落ちませんね^^ 流石に蒐集熱はクールダウンしてますが(集め尽くしてますから!)、それでもピンポイントで発動される本気度の振り子が振れ切っちゃってる感は健在。 さらに“古本”や“探偵小説”といった大好きなキーワード周辺の道楽を漁りまくっております。
自分マニアの面目躍如。 自分を楽しませることにかけて天才的だよね。 もはや、追撃を許さない独走態勢の様相を呈しております。
今回は 神保町の全ての古書店で探偵小説関連の本を買うという無謀なゲームを敢行したり、日本出版界再建ショッピングに繰り出したり、叢書の表紙カットシリーズのトレカ作りに励んだり、自分色の足フェチアンソロジーを編む企てや、本の魔窟と化した日下三蔵宅への潜入などなど。 濃ゆいツワモノなコラムがムギュッと詰め込まれています。 前作のメイキングも収められていたのは嬉しいかぎり。
見切り発車の行動力にはいつも感服してしまうんだけど、テキトーさと熱意の塩梅は何気にオトナで(何気にってw 失礼な。 いえ、喜国さんには自分の中の永遠の少年像をつい重ね合わせてしまって・・)、キメ過ぎずダラケ過ぎず、いつも読んでいて気持ちのいい落としどころを用意してくれるんですよね。
創元推理文庫のウイルキー・コリンズ著「月長石」(780p)読破日報が楽しかったです〜。 一日中、ながら尽くしの読書タイム。 なんと贅沢な! こんな一日を一生送ってしまいたい〜。 強敵古本ライバルの彩古さんを陥れるドッキリ妄想も楽しかったなぁ。 古本市でいつも敗北している意趣返しでしょうか
素人の書いたミステリの自費出版本を魔がさして(?)買ってしまった喜国さんw こういう本は一冊(だけ!)読んでみたいかも〜。 ある意味最強のアンチ・ミステリだもんなぁ。 ま、喜国さんのツッコミがあるからこんなに楽しいのであって、独りで読んでたらストレス溜まるよね、きっと。
出版不況を何とか救いたいという熱い想いが、ページの至るところに脈打っていた感じです。 ちょっぴり心を打たれてしまいました。 本書は新古書店の値下がりを待てずに新刊で(文庫だけど;;)購入しました。 もちろん売ったりしません。 だって面白いし、シリーズ揃えて本棚に並べたいし。 第3弾の「本棚探偵の生還」楽しみ

<ご参考>
潜入! 本棚探偵の凄い本棚 ← 美しさに拘る喜国本棚が拝めます。
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存在の耐えられない軽さ / ミラン・クンデラ
存在の耐えられない軽さ
ミラン クンデラ
集英社 1998-11
(文庫)
★★★★

[千野栄一 訳] プラハの春を経て、ソ連の介入により抑圧された政治体制下を生きたチェコ人の群像を冷然と描きつつ、思想・哲学の深い泉に読者を導き、考えさせ、幻惑させ、共鳴させ、打ち震わせる、途轍もないパワーを宿した小説でした。 強いられた生命の向こう側にあるもの、命令法から解き放たれた精神を希求する彷徨い人たちのような・・ 動物と安楽死についての考え方(犬が死を望んでいるという“人間の”判断)が、あまりに西洋的思想過ぎて、戸惑い以上のものを抱きましたが、それも全てひっくるめて、いろんな楔を打ち込まれました。
著者とおぼしき三人称の語り手に委ねられ、どの登場人物からも均等に距離を置いたシビアな視点に準じて描かれていく作品です。 メタフィクション的な知的遊戯の優雅さを備え、どこか音楽めいたものを感じさせる美しさで織り上げられていくテクスチャー。 ある恋愛の形の実例をあげていくかのようなテクニカルな趣向で、楽園を追われた人間という生き物の性を多角的に痛烈に描き込んでいきます。
過ぎ去っていく刹那の軽さ、意味を求めることの不毛、裏切り続けることでしか表現し得ない必然への抵抗、本質的に受け入れ難いものを除外することの俗悪さ、どんな善良さも観客を必要とすることでしか存在しえないアイロニー、信じることの滑稽さ、人間の性に属する醜いものへの許容・・
そして、人間を人間たらしめる愚かさゆえの深い哀惜・・なんて。 そんなものがほんとうに描かれていたかどうか自信はありません。 そう感じたいと願う幻想にすぎないのかもしれません。 掴んだ途端にすり抜けて、二度と再び廻り来ない泡沫の一生。 だから人は小説を書き、小説を読むのかもしれません。 果てしない思索の旅路に投げ出されてしまうのだけれど、読み終えて今、心地よい充足感と疲労感で満たされています。
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見仏記 / いとうせいこう + みうらじゅん
見仏記
いとう せいこう × みうら じゅん
角川書店 1997-06
(文庫)
★★★

直観的なイメージをクリアに言語化していく、みうらさんの枷のない自由な発想力と、観念の世界を優雅に浮遊しながら様々な仮説を導き出す、いとうさんの飽くなき分析力とが、絶妙な融合を遂げた仏像鑑賞記です。
奥が深そうで尻込みしていた仏像の世界を垣間見れる機会にありつけました。 日本に定着し、日本人独特のわびさび色(?)に染め上げられた感のある仏教ですが、思いがけずも仏像の中に、異国の香りがこんなに漂ってるんだなぁ〜と思うと、ちょっとドキドキしました。
仏像の気持ちになってみたり、古の仏師の挑戦に想いを馳せてみたり、はたまた仏像に恋してしまったり、天下御免(?)の鑑賞スタイルを考案してしまったり・・ 2人のクールでホットなモーション、エモーションに擽られつつ、サブカルチックな切り口から誘われる仏像体験。 気がつけば深い思惟の彼方に、仏像たちのエキサイティングな原風景が瞬いているのでした。
九州、奈良・京都、東北と、地方に見る仏教の根付き方、それと共に辿った仏像たちの遍歴を巡る考察などは、特に興味深かったです。 いとうさんの思索がヒートアップし過ぎると、みうらさんのイラスト&キャプションや、突飛だけと妙に含蓄のあるナイスな一言で、いい感じで腰を折ってくれたり^^
この見仏記の旅を通して、2人が“仏友”としての絆を深めていくのも読みどころな気がします。 深遠な感覚とライトな感覚という好一対の息の合った掛け合いを見せる、いとう&みうら節にクラクラ来るほどの刺激を貰った気分です。
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